4年目回帰サケマス簗場、岩手県 2014 / 11 / 2 (2014/12/3追記がココに)
2014年11月2日、岩手県内を太平洋岸沿いに洋野町から陸前高田市まで南下しました。
この日は日曜日でした。 そのため、普代川を除いて、係員はほぼ不在でした。 孵化場にも暇な
係員はいませんでした。
最北端に位置する川尻川には簗場があります。 ここの簗場は2011/3/11津波の被害を免れた
岩手県唯一のものです。 万里の長城のように高くて長い防潮壁が救ったのでした。 震災後、
付設の孵化場は使用を中止したままですが、簗場は残っています。
次に有家川を朝7時前に訪れました。 そこでは一人の係員が川の清掃作業をしておられましたが、
流水音でかき消され声が届きませんでした。 昨年までと異なり、孵化場の中に入れませんでした。
多くのサケが川にいましたが、これはこの後 普代村で聞いた話と一致します。
久慈大橋の傍にある簗場へは車でも徒歩でも近づけませんでした。 これは土堤のかさ上げ工事が
始まっていたためです。 しかし、捕ったサケをどのようにして持ち出すのでしょうか。 普代村の係員は
あの簗場はそのまま使っていると言っていましたが。
安家川は大規模な工事中でした。 4~5家族のみが利用することにしている復旧橋を渡って行き、
反対側からビデオ撮影しました。 漁師の話では、「2011/3/11に稚魚は放流前に流された。 今年、
捕獲から4年目の回帰となるが、サケの数はすくない。 定置網や、他所からも受け入れている」 と。
普代川で二人の作業員が簗場の補修にあたっていました。 そのうちの一人と長々と話し込みました。
私が見ても全くと言っていいほどサケは見当たりませんでした。 例年の10%以下とのことでした。
3箇所ある孵化場のうち、海に近い1箇所が津波で破壊されましたが、上流にある2箇所に被害は
出ませんでした。 当時 私も確認しています。 2/3近くは正常に2011年4月ごろに放流できたのです。
それでも捕獲から4年目の本年、10%以下に減ったことが暗示するのは: サケは記憶している川の
匂いを辿って戻ってくるというのは間違っている。 彼の説によると、南下するサケ集団の先頭にいる
ボスが好きなところで川に入ると後続の部下も挙ってそこに入る。 彼によれば、私の見て感じたのと
同じで、有家川(うげがわ)の孵化場は全滅したが、今年の回帰はすばらしい。 これは彼の説を支持して
いますね。
島越の松前川には 曽てサケが遡上したそうです。 2011年には影も形もありませんでしたが、
今年も上がっていないと思います。
山田町の織笠川にも行きました。 日曜日のせいか孵化場には誰もいませんでした。 下流の簗場の
位置が下方に移行していました。 そこにも誰もおらず、サケの水揚げ量は不明でした。 (追記では平年並み)
大槌川にも簗場が設置されていました。 ここをくぐり抜けて入ってくる支流の孵化場で一般の方から
聞いた話: 今年は少ない。
撮影で得た 1920x1080/60p.avchd のファイルを編集して 5分長の
H264/HEVCファイルを作成:
高規格30p: HEVC-1920x1080p30-4400Kbps-165MB.mkv (要 DivX 又は 万能プレーヤー)**
中規格30p: HEVC-1280x720p30-1500Kbps-61MB.mkv (要 DivX 又は 万能プレーヤー)**
**左クリックで鑑賞不可なら、右クリックでダウンロード保存したファイルを鑑賞してください。
標準規格30p: H264-722x406p30-2Mbps-77MB.mp4
2014/12/3追記:
1. 2014/12/1に有家漁港で孵化場所員に尋ねると、「2011/3/11に孵化場が完全水没し、稚魚が全て
流れ出し、恐らく全て死滅したと考えられる。 2014年度の漁は終了し、漁獲高は例年の半分強だった。」
この孵化場は海から50mとほぼ海沿いの位置にある。 平年では、4月~5月に放流するとのこと。
2. 同所の漁師によると、「津波襲来直後、港が稚魚で真っ黒になった。 生き延びた稚魚もいたのでは。」
3. 2014/12/1に山田町の織笠孵化場長に尋ねると、「2011/3/11の翌日に稚魚を全て川に放流した。
(たぶん発電用の)燃料不足が原因だった。」 しかし、この資料によると、"山田町被災者用飲料水へ供給のため、
稚魚は全部放流し、給水車へ供給" とある。 2014年度の漁獲高は昨年(つまり、平年)並みとのこと。
孵化場は海から2kmに位置する。 ここでも、例年、4月~5月に放流すると私は思います。