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予告: 誤差の多いデータを事実(と思われる曲線)に近づける工夫を 近々・・・

日下 公人氏が 日経BPネット に 興味深く有益な実話を書いています:
  「情」のパワーが人を動かす

下記はその中の第5章からの引用です:
  思い切った研究は「情」がないとできない
 大化けするか分からない研究に資金を提供する。それを今、この官僚主義の下でやれるだろうか。たぶん無理だとわたしは思う。
 例えば、政府に総合科学技術会議というものがある。かつてわたしはその委員になっていた。

 何百億円かの予算があって、それを大学へ配るのが総合科学技術会議の主な役割だった。集まっている委員には、ノーベル賞スレスレという人がずらっといた。そして、この大学にいくら配るのはいいとか悪いとか、会議をするのだ。
 委員をしているときにわたしは、「まだ世に出ない天才というのがいるでしょう。業績がまだ世に認められないが、本人は一生懸命やっている天才がいるでしょう。そういう人を見つけ出してこのお金を配るのが、我々の存在意義ではないですか」と主張した。委員たちはみんな「そうです」と深くうなずいた。

 ところが、話し合いを始めるとそんな理念はどこかにいってしまって、「この人はわたしの弟子だ」とか、「この人は米国で褒められている」とか、「この人は英国では誰も褒めていないからやめておこう」とか、そんな話ばかりになってしまう。

 どこがアカデミズムなのか。文句を言ったら、わたしは委員を辞めさせられてしまった。
 結局、誰か大金持ちが「よし、あなたに頼む」と言わなければ、思い切った研究のスタートはできない。思い切れる力は、知だけでは出てこない。前頭葉だけでは出てこない。個室にこもってゲームばかりしている人も、やはりそこで「1000点を突破してやろう」とか、「あいつに負けない、2000点とるぞ」とか、そういう思いがなければ進歩しないのだ。
 つまり、情である。情がない研究は行き詰る、行動は失敗する。情が人を動かす力というのは本当に大きい。

日下 公人氏の第1章はココにあります

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